企業だけが導入できる確定拠出年金企業型
導入には、労働組合の合意が必要
2001年から導入されてきた確定拠出年金制度も、すでに丸17年が経ちました。
公的年金分の不足や欠点を補い、老後資金を貯める目的で国が始めた制度で、企業が導入して従業員が加入する企業型と、個人が加入する個人型があります。今回は、企業型を重点的に説明していきます。本来、企業に勤めて厚生年金さえ納めていれば、老後はそこそこ暮らしていけるということで、社会は成り立ってきました。それほど、公的年金は安泰と思われ、企業自体で掛けていた確定給付企業年金があれば、それも加わって、定年後は少ないながらも生活していけると誰もが思っていたのです。ところが、少子・高齢化が劇的に進行し、老後を公的年金で支える仕組みが崩壊し始め、厚生年金の不正や不祥事の発覚、確定給付企業年金の廃止、終身雇用制の不透明さなど、企業や社会における環境が目まぐるしく変化してしまいました。定年後からまだ人生が20年も30年もある時代に、何を信じて働けば良いのか、どう老後の生活に対処したら良いのかがまったく見えず、漠然とした不安を国民が大きく抱くようになったため、国としても動かざるを得なくなったわけです。そこで、国が考えた策は、掛金は企業が負担してくれるものの、運用は自分で考えて資産を作るという、自己責任型の私的年金制度(確定拠出年金)になります。ただ、企業が確定拠出年金の企業型を導入するのは、義務ではなく、労働組合の合意が必要です。従来の制度である、退職一時金、確定給付企業年金、厚生年金基金があったとすれば、各制度から確定拠出年金への一括した資産の移換になってくる場合もあり、企業が確定拠出年金の企業型を導入する際には、従業員に悪い影響が出ないよう、慎重にならなければならないからです。
毎年導入企業が増加
企業が確定拠出年金を導入すれば、元の制度に戻すことはできません。従業員の将来がかかっていますから、余計に慎重な姿勢が導入には求められます。
ただ、運用バランスは自分で選べるのでリスク管理もしっかりできます。2019年には会社の福利厚生の一環として導入企業がさらに増えることが見込まれています。